メイン 実録・個人の昭和史II(戦後復興期から高度経済成長期) 羽生の鍛冶屋 本田 裕 | 投稿するにはまず登録を |
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編集者 | 投稿日時: 2013-5-9 10:24 |
登録日: 2004-2-3 居住地: メロウ倶楽部 投稿: 4289 |
羽生の鍛冶屋 本田 裕 43(奮闘記その12) (初めて庖丁を造る) 昭和53年4月、刃物店を開業して1年が経ちました。52年11月8日、鍛冶屋の火を灯し、急きょ、即席ながらの練習修行を開始して、燃焼の加減、機械、作業道具に慣れること、岡安鋼材から仕入れた高級刃物鋼の性質テスト、などをくりかえしながら庖丁造りに挑戦しました。 富士電機に勤務していた技能訓練所の基礎勉強と、溶接、鍛造、熱処理等の経験を思い起こしコークス炉に火を入れました。 極軟鋼を800度程に加熱、タガネで割り込みを入れ、日立金属安来鋼青紙二号(タングステン含有)の刃物鋼を極軟鋼と共に加熱、そして軟鉄とハガネを接着させるための鍛接材の(テツロウ)をまぶして極軟鋼の割り込み部分にハガネを挟み込み、コークスの中に入れ炉の温度を上げ加熱、800度~850度の範囲内で(テツロウ)が溶け出す状態を見て、極軟鋼とハガネを素早く鍛接(ここで、村の鍛冶屋のうたの如く、火花が飛び散ります) つづけて、800度前後で加熱をしながら、スプリングハンマーの力で(ダンダンダンと音をたて)薄く延ばして行く、ある程度の形に伸ばしたら、酸化スケールを表面から飛ばすため、水打ちと加熱を繰り返しながら、片手ハンマーを使い金敷の上で叩いて庖丁の表面をきれいにして行きます。 鉄の表面を平らにし、柄が入る(こみ)の部分を修正し、庖丁の形状に近づけます。その後、歪を取り、荒削りをして、焼き入れ態勢に入ります。 油焼き入れで、一応の目安として、焼き入れ温度770度、焼き戻し温度170度で熱処理を行い、その後、研磨作業、四工程を経て、初めての黒打ち仕上げの庖丁が完成しました。 今後、焼き入れ温度、焼き戻し温度と時間、磨き仕上げ、さまざまの庖丁の研究課題が待っております。 |
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