昭和11年　樽 4才

　戦前、家業は養鶏でした。が、うまくは行かなかったようです。

　　百鶏のくくと啄む豊の秋　　樽

　
　大正12年　樽未生

　樽の曾祖父は震災（大正12年）で亡くなりました。それを知らされたパリ在住の伯父からのはがき。

　　ふらんすの鉄鍋に鶏天高し　　樽

　昭和13年　樽 6才

　奥に東京駅が見えます。

　　冬近し街路樹ひよろと丸の内　　樽

　昭和18年　樽11才

　戦時中、小田急バスは木炭車でした。

　　さねさし相模乗合バスの冬用意　　樽

　
　昭和21年　樽14才

　池袋か銀座か、戦後街には街頭写真屋が出ていました。まだ焼け跡ですが、復興がはじまっています。

　　腐れ藷苦きを知らず敗戦日　　樽

　昭和25年　樽18才

　那須を流れる蛇尾川（サビ川）は水無川で、台風の後など年数回水が出ました。卒業生で治水の研究をしている人がいて測量を手伝いました。
　もちろんボランティアです。

　　轟々と伏流水を草の花　　樽

　昭和28年　樽20才

　婦人之友・雑司ヶ谷短信昭和24年 4月は「世界最小の大学」でした。東京女子大・岩間徹先生のロシア革命前史の時間がありました。
　なんの役にも立ちませんでした。

　武蔵野線（今の西武池袋線）で屎尿を運び出していたことがあり、おわい電車と呼ばれていました。隔世の感があります。

　　下肥を食らひ武蔵野牡丹雪　　樽