藁細工《わらざいく》に並んで、庶民の身近な生活用具は竹製品が多かったです。その理由は何よりも、竹が身近に生えていたからです。

　複雑なプロ仕事とは別に、自作の竹細工品が周囲にゴロゴロありました。その中の幾つかを思い出しながら作ってみました。

　原則は、誰でも出来る簡単な物です。　竹藪《たけやぶ》から竹を伐《き》ってくれば、ほんの数分間で出来たものばかりです。

　先ず貯金箱。　両端に節を付けた一節を切り出し、コインの投入口を開けただけです。
　口を少し大きくすれば紙幣《しへい》を折りたたんで入れる事も出来ます。裏側の上端に小さな穴を開けておくと、柱の釘に掛ける事ができます。

　最大の特徴は割らないと中身が出せない事です。(^-^)

　小さい頃、このような貯金箱にお年玉を入れ、幾ら溜《た》まったらあれを買おうと、コトコト揺《ゆ》すって楽しい夢を見ていらっしゃった方も多いと思います

　一節だけ残し、その節に錐で小さな穴を開けると火吹き竹になります。
　竈《かまど》や火鉢、風呂釜などには無くてはならない道具でした。

　火に近付けすぎると、この穴が焦《こ》げて大きくなります。
　その時はさっさと燃やしてしまえば良いだけです。

　藁草履や筵《むしろ》などの藁細工を作る時、藁を編んだ部分に縄を通したい事があります。　
　つまり、針が必要です。

　普通の針と同じ構造で大きい物を作っても縄が太くて作業ができません。この写真のような竹箆《たけべら》を作り、後端部を２つに割っておきます。
　この割れ目に藁《わら》や縄を挟み、篦を草履の編み目に差し込むと、篦が編み目を通る時強く挟まれるので縄は外れることなく付いてきます。

　この写真では試しにビニール紐《ひも》を挟んでいます。(^-^)