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メロウ倶楽部第4回講演会

日時: 平成13年12月6日(木曜日)午後4時〜6時

場所: 学習院大学 百年記念会館


演題: 「介護保険制度の光と影」 知ってるつもり?介護保険


講師: 箭内 敏夫 氏

講師紹介

箭内氏は会員のYANAさんで、ボランテアとして、重度身体障害者(脳性麻痺)の方の在宅サポートをなさったり、介護保険や高齢者を取りまく環境などについての講演をなさったりと、大活躍されています。


講師 箭内 敏夫 氏

講演要旨

介護保険の保険者と被保険者
保険者は市町村と東京23区「特別区」。


被保険者は二通りあって、1号被保険者は65歳以上。40歳〜64歳までが2号被保険者である。


概要は国と地方自治体が50%である。国が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%、と全体の半分が公費で賄われている。残りの半分は保険料である。


1号被保険者の保険料が17%、2号被保険者33%、とこれらで賄っている。保険料の徴収の仕方は高齢者1号被保険者の場合は、原則として年金から天引きである。


平成10年の厚生白書からコピーしたものなので、天引きが7割、市町村が直接徴収するのは3割と書いてあるが、現在は8割に変わっている。


平成12年版厚生白書の概要のサイトはこちら


http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/


保険料は、所得が多いほど高額となる(上限有り)


特別徴収対象者
年金受給を受けている人で、年間18万(月1万5千円)以上を受け取っている人です。


要介護認定
介護保険のサービスを受ける為には、被保険者であることが必要である。保険者より要介護認定を受けて被保険者証に記入して貰う必要が有ります。


要介護認定は6段階あり、認定を受ける為には、1次審査・2次審査を受けて、要介護レベルを判定して貰わなければ成らない。判定されると在宅介護サービスや、介護施設の利用を受けることが出来る。


利用するときには、一割が個人負担、あとの9割が国の税金と、保険料から業者に支払われる。


被保険者が介護が必要になった状態になったときには、市町村の窓口に要介護認定を申請する。申請をすると、調査員が85項目の面接調査をする。そのほかには、面接の際に調査員が書いた特記事項、主治医の意見書を資料にして、コンピューターにかけ要介護度を決める。


受給資格者とは
* 被保険者であること
* 介護認定審査会で認定されていること
* 保険料を滞納していないこと
* 老化による症状であること(2号被保険者)


何故この制度ができたのか、これからこの制度はどうなっていくのかを中心に話を進めたい。


1.制度の概要と現況
・実施状況
被保険者数 第1号(65歳以上)2256万人 
第2号(40歳〜60歳)4286万人


要支援・要介護認定者数268万人 
うち65歳以上258万人(被保険者の11.4%)


サービス利用者数
居宅介護サービス 142万人
介護施設サービス  65万人
認定は受けたが施設サービス、居宅サービスを利用していない人は51万人。


何故利用しないか
厚生省のアンケートの調べでは、今の所は家族介護でなんとかやっていけるというのが圧倒的に多く、中には他人とかかわりたくないというのもある。


将来介護を利用しますか、との質問では、いずれは家族介護の限界がきたらサービスを利用したいという答えが返ってきた。将来絶対利用したくないという人は、5%である。


何故こういう保険が何故できたか、これは日本の人口の問題である。


2.制度自体が内包する課題
一つには少子高齢化という現実がある。


平均寿命 
昭和22年男性の平均寿命は50.06歳 現在は77.01歳。
昭和22年女性の平均寿命は53.96歳 現在は83.59歳。


合計特殊出生率
解りやすくいうと、一人の女性が一生涯に産む子供の数は何人かということである。昭和22年団塊の世代が生まれた年の、合計特殊出生率は4.32人(4人兄弟か5人兄弟)、それがどんどん減って1.37人。


人口置換水準というのがあって、現在日本の人口は1億2600万人、この1億2600万人を維持していくためには、合計特殊出生率は 2.08 でないといけない。


人口が減っていくと日本はどうなる
大正9年の日本の人口は5千500万人、
昭和5年:6千400万人
昭和25年:8千400万人
昭和40年:9千900万人
平成12年:1億2600万人
平成90年:1億1千万人
平成112年:6千700万人


このように少子高齢化をどうするかということで、介護保険が一つの選択しとして出てきたわけである。


タテマエとホンネを使い分けた厚生省
若い人がいなくなる、子供に頼るわけにはいかなくなる、年寄りが年寄りの面倒をみる老老介護になってしまう。


そこで介護の社会化という、社会全体でということで介護保険が出てくるわけである。厚生省は介護保険を導入するときに介護の社会化ということを一生懸命考えた。たとえば、厚生省が一番最初に作ったパンフレットには「介護保険は老後の安心を皆で支える制度です。」と書いた。従って自治体のパンフレットも皆そういうやりかたをした。


措置から選択へ
それまでの高齢者介護はどうなっていたかというと、老人福祉法によって福祉事務所が「・・・の老人ホームにはいりなさい」と言った一方的行政の方からの行政処分という形で行われていた。これを措置制度という。


措置制度では我々の方からは選択することが出来ない、介護保険になれば保険料を支払って被保険者になれる、被保険者はその権利として選択することが出来る。


新型特別養護老人ホーム 来年度より新型特養を実施する。これはすべて個室、ユニット化、トイレの排泄介助の問題は、個室に置かないでユニットに置く形。


特養個室化と引き換えにホテルコストを徴収する。要するに個室化するので建設費が高くなったら、今までの特養と違って、光熱費、住居費、などは別途徴収、そうすると、現在の特養で5〜6万が15〜6万くらいになる。


ケアハウスの民営化
介護保険外の施設で、高齢者用住宅、老人福祉法では軽費老人ホームと言っている。これにA型、B型、ケアハウスがある。A型、B型には自炊など自分で出来る。ケアハウスはケアつきである。しかしこういった施設は東京はかなり少ない。


現在までの社会保障制度改革
平成15年より障害者に対する措置制度がなくなり、利用制度に変わる。
医療制度改革、医療圏ごとにベット数を決める病床規制。


老人負担の見直し
昨年までは病院へ行くと、窓口で530円だった。平成13年1月から一律一割負担というふうに変わった。


年金保険制度改革
基礎年金、サラリーマンでいえば厚生年金の国庫負担が1/3から1/2 。年金の支給年齢も60歳から65歳に引き上げることになっている。


変貌する高齢者像
高齢者に対する見方が若干変わってきた。老人福祉法という法律があって第二条では、高齢者は多年に渡り社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識経験を有する者として、敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとすると書いてある。


平成10年〜12年の厚生白書では、高齢者は金持ちである。60歳以上は40歳代の2倍以上の資産を保有しているという数字がある。


決着を迫られる医療制度改革 小泉構造改革の目玉「三方一両損」!?


給付率(被用者) 8割 → 7割り
(70歳以上) 9割 → 9割、高所得者は8割
伸び率管理制度 現在なし → 指針を定める
高齢者医療制度 70歳以上老人保健 → 75歳以上の新制度


            メロウ倶楽部 東京グループ さといも 記


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