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メロウ倶楽部第5回講演会

日時: 2002年10月5日(土曜日)午後3時〜5時

演題: 「人口問題のお話−主として開発途上国について−」

講師: 国立国際医療センター・元局長 我妻 堯 博士

講演会次第

  司会  ザツクス・杉本 副会長
  開会   ごんた・瀬戸屋 監事
  ご挨拶 幹・甲斐 前会長


  当メロウ倶楽部は色々な面で活動をしておりますが、講演会は中でも重要なものの一つであります。本日のテーマの人口問題は、日本のみならず、世界にとって極めて大きなな問題であります。では先ず、演者紹介をザツクスさんからお願いいたします。


演者の紹介 ザツクス・杉本 副会長

 本日の講師をご紹介申し上げます。私が医局時代共に学んだ関係でお忙しいところをボランティア講師を引き受けてくれたことに感謝致します。


     昭和30年4月  東京大学医学部卒業
     昭和31年4月  東京大学産婦人科入局
     昭和37年7月  英国文化振興会給費留学生としてロンドン大学留学
     昭和39年1月  米国Johns Hopkins大学産婦人科にて研究
     昭和43年6月  愛育病院産婦人科部長
     昭和47年7月  東大医学部助教授 
     昭和51年4月  国立病院医療センター産婦人科医長
     昭和61年10月 同            国際医療協力部長 
     平成5年10月  同            国際医療協力局長
     平成7年 4月  国際厚生事業団参与 
     同年   11月  日本医師会より最高有功賞を授賞


     その他      WHO生殖生理学特別研究プログラム委員
                              (1977-1995)


 このあと、パワー・ポイントで数々の表を駆使して上記のテーマについて講演され多大の感銘を聴衆に与えた。そのあと質問も活発に出て、大変有意義な講演会でした。

講演要旨

 スライドで世界人口の推計値を示し、今の総人口は58億人ですが、2054年には90億に達するだろう、と言われております。中国の人口政策は成功してはいますが、それでもいずれは世界の人口の5人に1人は中国人という状態になると思われます。こうして人口の増加は次第に深刻さを増して参りました。


 人口増加の影響は 1)食糧・水・資源・エネルギーの不足 2)都市への人口集中、土地・住居の不足 3)廃棄物の増加・公害 4)環境破壊などの問題をもたらします。


 日本について見ても米などは自給率100%ですが、それ以外のものは家畜の飼料にしても殆どが輸入に頼っております。従って世界に食糧不足が起こればその波が襲うのは日本が一番先ではないかと思われます。


宇宙船地球号の資源は限られていますから、途上国はますます遅れをとり、人間が増えていいことは何一つ無いのであります。


 現在の先進工業国では多産・少死の状態になると一時は人口の増加を見たが、その後、次第に出生率が低下し1930年頃には少産・少死の状態に達して人口の均衡を見た。この現象を人口学者は人口転換と呼んでいます。


 家族計画運動の目標として早すぎる、近すぎる、多すぎる、遅すぎる、 この4つの出産を無くすることが重要です。これは外国の4 toosを翻訳したものです。4番目は遅くまで生み過ぎるということです。


 さらに、途上国の保健医療に言及し、子供を沢山生む理由を説明、子供はただで労働力になり、お金はかけない、家族計画を知らない、子供が少ないことが徳にならないということから子供を多く作るという。


 子供の死亡率、生活環境をスライドで示し、安全な水、食事、ゴミ処理、衛生知識、医療施設の重要性を説明。子供の主要な死亡原因は脱水で、経口補液で救われるのだが、医療施設が少なく、医療従事者も足りないことが致命的である。


 国によって価値観が異なり、幼児は入浴させないとか、避妊具が手に入らないとか困難が多い。途上国の女性は教育を受ける機会に乏しく、貧困で水汲み、薪集め、洗濯、調理、農作業など家庭の全ての仕事をしなければならない。都市への人口の集中、その結果、農村の疲弊をもたらし、都市人口の増大を招いている。


 エイズの人口への影響はエイズが余程多くないと先ず無いと思われます。
 更に数々のスライドで人口の老齢化の予測などを説明、しかし皆さんは絶望は心身に悪い影響を齎しますから、それぞれの立場で希望を持って暮して下さい、と結んで多くの聴衆の拍手を受けた。


 ★ 次いで質疑に入りました。(主なもののみかいつまんで載せます。)


  Q:避妊にはピルがいいか、コンドームがいいか? 
  A:物ではなく人が行って教育しなければ改善は望めません。殊に
    産婦人科の医師が少ないので、増えてほしいですね。


  Q:人口増加の原因は?
  A:衛生上の進歩、医療の進歩、とりわけ多産少死によるものが最も
    関与している。


  Q:日本は少子化でいいのか?
  A:悲観論者か楽観論者かで違う。老人に労働して貰うのも一法ですね。


  Q:イギリスのように住みやすくなるのでは?
  A:日本は平野が少ないので、同じようにはならないと思う。


  Q:宗教的に避妊を禁止している所があるか?
  A:イスラム教、キリスト教の一部であるが、米国では人種によっても異なる。


約40分に亘る質疑でかなり皆さんも満足されたようでした。(出席者37名)


なお、3階に場所を変えての懇親会もいつに無く盛会で、会員と会員外の方との交歓、歓談も賑やかで、その辺は写真、toshyさんのビデオをご覧いただければ、分かると思います。


また、公式ビデオ記録は多摩のけんさんによって製作され、講師に寄贈すると共に会に保存されますので、ご希望の方は貸し出しを申し込んで下さい。


この記録は医師会の田淵徹先生の記録及びザツクス・杉本のI・C・Recorderでの録音からPCを用いてザツクスが書き下ろしました。膨大な量なので抄録に留めました事をお断りいたします。
                   (文責・ザツクス・杉本)


講演会&懇親会の模様


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